BPaaSがビジネスにもたらす効果とは?実務担当者らが語るBPaaS活用最前線<後編>
前編の記事では、BPOの「BPaaS化支援」とBPaaSである『入札BPO』、双方のユーザーが持つ共通の課題が明らかになりました。
後編では、具体的な活用事例を通じて、BPaaSが企業の業務効率をどのように改善しているかを深掘りしていきます。BPaaSが企業に与える価値とは何か、BPaaSの可能性をさらに探っていきます。
目次
座談会参加者
平山 祥也
2019年キャリア入社
株式会社うるるBPO BPO事業部 アライアンス事業推進課 マネージャー
アライアンス、BPOに関する新サービスの開発、大規模プロジェクトの実務を主に担当。
BPaaS化支援では、うるるが持つSaaSをグロースさせてきたノウハウと、BPOが持つ潤沢なリソースを組み合わせることによって、SaaS事業者が抱える導入障壁の排除(イニシャル時のデータ化やカスタマイズの体制設計など)やカスタマーサクセス・サポートの外部委託体制設計など、バリューチェーン強化・改善のためのコンサルティングや業務設計・提案などを行っている。
橋口 拡和
2014年キャリア入社
NJSS事業本部 特別販売課 課長
入社以来、NJSS事業本部一筋で、フィールドセールスやカスタマーサクセス部門を経験する。
その中で、公共事業のプロセスを深く理解するうちに、『NJSS』が提供できる価値が限定的であることを痛感。ちょうどその頃、BPaaS『入札BPO』の話が持ち上がり、立ち上げメンバーとして参画。以降、『NJSS』だけでは解決できない困りごとをBPaaSというサービス形態で解決することに尽力している。
高田 賢志
2012年キャリア入社
NJSS事業本部 特別販売課
入社後、BPO事業部にて活動したのち、現在のNJSS事業本部へ異動。
フィールドセールス部門、カスタマーサクセス部門、インサイドセールス部門などを渡り歩き、様々なフェーズの企業の公共営業をサポート。2022年より、BPaaS『入札BPO』メイン担当者となる。『入札BPO』では、顧客の入札活動における現状や課題のヒアリングを踏まえ、市場分析や戦略立案、打ち手の提案や活動体制構築支援など、顧客の公共における成果を最大化するための様々な支援を実施している。
アナログ業務からCS業務まで 広範なビジネスプロセスをカバー
――実際、ユーザーからはどのような依頼ケースがあるのか、具体的に教えてください。
平山 うるるBPOの場合、大きく2つに分けられますが、1つは王道パターンである、紙が発生しやすい職種や業種――法務、会計、不動産辺りをターゲットにしているSaaS事業者からの依頼です。前述したクラウド型会計システムのユーザーもしかり、紙から電子に移行する障壁をクリアしたいという相談は、とても多いです。
2つ目は、最近増えつつある、CSのまるごと委託です。請け負うにはユーザーとサービス双方の理解に加え、SaaSとBPOの両方の知識が必要です。こうしたスキルが揃う事業者はなかなかいないので、私たちに話が持ち込まれることがよくあります。
高田 CSを委託しようって、なかなか出てこない発想ですよね。
平山 そうですよね。でも、実際にCS委託の問い合わせは多く、業種も様々です。
たとえば、マッチングサービスを営む企業さんから、ユーザーのニーズのヒアリングと、ニーズを満たす相手とを紹介しあう部分を任せられないか、のような相談もありましたね。
橋口 僕の場合、「入札案件のチェックをお願いできませんか」という相談を受けたときは、当初意外に思いました。入札案件のチェックは、NJSSから日々届く情報に目を通して、どれなら参加が可能か精査する、売上につながる可能性をはらむ重要なプロセスなんです。
高田 入札担当者のコア業務にあたるといってもいいよね。
橋口 はい。なので、本来ならおざなりにできないはずですが、一件一件確認するのは骨の折れる作業のため、負担に感じているユーザーが多いことが判明しました。
ただ、することは一種のルーチン業務なので、レベルの高い精査は必要なものの外部に切り出せることから、現在、私たちで請け負っています。その結果、ユーザーは日々精査に使っていた1~2時間を、別の業務に充てられるようになり、ユーザー満足度の向上につながっています。
高田 同じような問い合わせが最近は増えていますよね。
そうした依頼を通じて、企業が競争力を高めていっている中で、コア業務の領域が広がってきていると感じます。これまでノンコア業務とされてきたものはITツールなどのデジタル化で一定担えるようなっていますが、人が絡むコア業務が増えたことで、なかなか外に出しにくいケースはあると思います。
橋口 でも実際は、先の事例のように外部に切り出せる業務もあるんですよね。
平山 それに気付いてほしい!っていうケースはうるるBPOでもよくありますね。
高田 入札BPOを導入いただいたことで、入札を初めて半年くらいのユーザーが、落札件数でも売上でも大きな成果を上げられる事例も生まれています。NJSSには、その企業の条件にマッチした案件を紹介する新着メールサービスがあるんですが、入札は、その新着メールが届くたびにチェックしているユーザーほど成果を上げている傾向にあります。けれど、そこまでていねいにできる企業はわずかです。これはリソース不足が原因の一つだと考えられます。
その点、私たちに任せていただくことで成果につながるケースは多いので、『入札BPO』を課題解決に役立てていただきたいですね。
人の手が介在する、すべてのビジネス課題を解決したい
――あらためて、どのような事業者にBPaaSを活用してもらいたいですか。
平山 BPaaSはありとあらゆるSaaSに適合する要素が必ずあるので、業種や業態問わず検討する価値はあると思います。
その中でも、他社さんとの差別化に課題を持つSaaS事業者には強くお勧めしたいです。SaaSは現在、バーティカルなものも多く増え、独自性を打ち出すことが難しくなってきていますが、BPaaS化して付加価値を付けることで、サービスの価値を上げることを検討できます。サービスの価値向上を通じて、事業価値を高めることで成長ストーリーをつくり、さらなる飛躍へとつなげていただきたいですね。
ユーザーから、「サービスの受注率が上がった」「チャーンが少なくなった」と聞くと、僕たちも嬉しくなります。
お客様の事業が成長し、うるるBPOの売上も伸びていく。これが一番の理想の形だと思っています。
橋口 環境的な課題を持つユーザーにぜひお勧めしたいです。昨今だと人的リソースの課題を抱える企業が多いと思います。SaaSを導入してもリソース不足によって使いこなせていないケースは、NJSSに限らず他のSaaSでも見受けられます。
BPaaSへサービス形態をシフトチェンジすることで、解決できる問題であるのであればぜひ活用してほしいです。
SaaSと比較するとBPaaSは大きな投資のように感じるので、なかなか踏み出せない気持ちもわかります。けれど、入札におけるゴールは、「落札/応札」です。BPaaSへ投じることで大きなリターンがあることも理解してもらえると嬉しいです。
――最後に、みなさんのBPaaSへの愛を聞かせてください!
平山 BPaaSは多様なリソースと実績を活用し、コア事業に集中できる環境を提供しながら、コスト効率の高い事業成長を支えられるサービスであると感じます。
事業がスケールしていくに応じて従業員が増えれば、そのぶん固定費も増加します。でも、一部を切り出すことで、本来なら労働集約型のビジネスであっても、コスト発生曲線を緩やかにしながら事業成長を目指せます。コア事業に集中できるようにもなるので、会社の強みをより出せるようになりますよね。
しかも、うるるBPOであれば、内容に応じて、中国やベトナム、ミャンマーといった国外のリソースや、ハンディキャップのある方、シニア人材のように多様な人材を活用することで、効率的かつ柔軟なリソース割り振りを実現しています。これにより、質の高いアウトプットを維持しつつ、全体の運用コストを最適化することが可能です。
さらには、3万件を超える実績に裏打ちされたノウハウだけでなく、自社でSaaSを行っている経験もまた、BPO事業に反映されています。こうした特長が他のアウトソーサーにはない僕たちの強みです。BPaaSのことは、うるるBPOにぜひ任せていただきたいですね。
橋口 『入札BPO』をスタートした当初は、BPaaSは単なるオプションだと思われていましたが、実際はスタンダード化された、真の課題を解決するサービスだと考えています。
ですから、「お金のかかるオプション」ではなく、「一つのサービスなんだ」って、BPaaSの認知が正しく広まっていくといいですよね。
入札事業が大きく絡む行政は、紙文化が根強く、廃止論はあるもののファクスもまだまだ主流です。IT化が広まり、ビジネスシーンではSaaSが普及していますが、こうしたアナログ業務が根強く残っていることから“いいアイテムがあるだけでは人は活用しきれない”ということもわかります。
泥臭いですが、人の手を介し、一歩一歩建設的に課題を解決できるのもBPaaSのいいところだと思っています。
今回、BPaaSという言葉に触れたことが、業務を見直すきっかけになれば、嬉しいです。
平山 そう考えると、僕たちってまさに『労働力不足解決カンパニー』だよね。
橋口 本当にそう思います。SaaS事業者の中には、従業員のほとんどがエンジニア集団のような、尖ったところもありますが、最終的にはCS人員を募集しているんですよね。
そういう会社であればチャットボットを使って、ユーザーサポートすることくらい簡単にできると思うんですが、それだけではなくCSを強化するということは、やっぱり人じゃないとできない業務があるんだと思います。
高田 そうですよね。その“人の手”が無くて困っているのなら、外に求めることができることに気付いてほしいですよね。
現在の『入札BPO』は、ユーザーの個別課題と向き合うオーダーメイドの案件が多いものの、この先同じような課題がどんどん持ち込まれるようになれば、それは『NJSS』のユーザーの共通課題なので、ゆくゆくは『NJSS』に追加機能として搭載されたり、姉妹サービスが生まれたりするかもしれません。そうなれば、私たちがお手伝いできる範囲も広がるし、ユーザーの事業にも大きな価値が生まれます。
BPaaSはこうした期待の持てるサービスです。私たちも、そのくらい良いものを提供しているんだって胸を張り、この先も活動していきたいです。