VISION
2024/10/30

BPaaSがビジネスにもたらす効果とは?実務担当者らが語るBPaaS活用最前線<前編>

労働力不足が深刻化する国内で少しずつ注目されている「BPaaS」。BPaaSとは、『Business Process as a Service』の略称であり、企業がSaaSを利用するうえで本来ならば、“人”が担うべき労働力までを内包したアウトソーシングサービスを提供する形態です。

うるるでは、株式会社うるるBPOによる、他社SaaSをBPaaS化する支援と、入札関連業務をトータルで支援する『入札BPO』というBPaaSの展開で、BPaaS事業者として多角的なソリューションを提供しています。

今回は2つの事業の実務担当者3名に、実際の事例を交えながらBPaaSの特徴やメリットについて語ってもらいました。公開した、うるるBPO代表桶山のインタビューとともに、BPaaS活用のヒントをぜひ見つけてください。

(「うるるBPO」はなぜ“BPaaS化の支援”を可能とするのか。その理由についてうるるBPO代表の桶山にインタビューしました!

座談会参加者

平山 祥也

2019年キャリア入社
株式会社うるるBPO BPO事業部 アライアンス事業推進課 マネージャー
アライアンス、BPOに関する新サービスの開発、大規模プロジェクトの実務を主に担当。

BPaaS化支援では、うるるが持つSaaSをグロースさせてきたノウハウと、BPOが持つ潤沢なリソースを組み合わせることによって、SaaS事業者が抱える導入障壁の排除(イニシャル時のデータ化やカスタマイズの体制設計など)やカスタマーサクセス・サポートの外部委託体制設計など、バリューチェーン強化・改善のためのコンサルティングや業務設計・提案などを行っている。

橋口 拡和

2014年キャリア入社
NJSS事業本部 特別販売課 課長
入社以来、NJSS事業本部一筋で、フィールドセールスやカスタマーサクセス部門を経験する。

その中で、公共事業のプロセスを深く理解するうちに、『NJSS』が提供できる価値が限定的であることを痛感。ちょうどその頃、BPaaS『入札BPO』の話が持ち上がり、立ち上げメンバーとして参画。以降、『NJSS』だけでは解決できない困りごとをBPaaSというサービス形態で解決することに尽力している。

高田 賢志

2012年キャリア入社
NJSS事業本部 特別販売課
入社後、BPO事業部にて活動したのち、現在のNJSS事業本部へ異動。

フィールドセールス部門、カスタマーサクセス部門、インサイドセールス部門などを渡り歩き、様々なフェーズの企業の公共営業をサポート。2022年より、BPaaS『入札BPO』メイン担当者となる。『入札BPO』では、顧客の入札活動における現状や課題のヒアリングを踏まえ、市場分析や戦略立案、打ち手の提案や活動体制構築支援など、顧客の公共における成果を最大化するための様々な支援を実施している。

先進企業の活用進むBPaaS ノウハウ不足とリソース不足を補完

――所属部署の業務内容を聞かせてください。

平山 今年立ち上がったBPO事業部アライアンス事業推進課で、BPaaS化支援を中心に従事しています。BPaaS化支援とは、うるるBPOが持つBPOのノウハウを活用して、他社SaaSをBPaaSへとサービス形態をシフトチェンジさせることで、競合他社との差別化やプロダクト自体の価値を上げていく活動をしています。

橋口 私と高田さんは、入札情報速報サービス『NJSS』を提供する部門の所属です。このNJSSですが、あくまでも情報提供のツールであり、ユーザーにとってはNJSSで得た情報をどう活用するのか、が肝心です。しかしながら、入札のプロセスは複雑かつ煩雑であり、「自社だけではやりきれない」と、多くのユーザーが悩んでいるのが現状です。

<入札業務におけるゴールは、「落札/応札」。入札業務におけるプロセスは多岐にわたるため、昨今の人的リソース不足から情報を収集するだけでは、落札まで到達できない課題を抱えるユーザーも。その課題解決を図るために生まれたのが「入札BPO」>

こうしたユーザーの手に余る部分——マーケット分析、入札業務、そして案件履行をうるるが代わって行い、ユーザーの成果につなげていくことを目的に、2023年11月、NJSSにBPOの力を加えたBPaaSへシフトチェンジした『入札BPO』が誕生しました。私たちは、その担当者としてユーザーの課題解決のお手伝いをしています。

――うるるは、BPaaSへのかかわり方が多様ですね。うるるBPOは、BPaaS化支援という形でSaaS事業者をユーザーとしていますが、一方で入札BPO』は自社SaaSをBPaaS化させ、お二人はそのサービス提供者としてエンドユーザーと関わっているんですね。提供する立ち位置は違いますが、BPaaSをご利用になるユーザーの共通課題はあるのでしょうか?

平山 まず、そもそもとして困りごとや課題のある状態が恒常化しているため、課題を課題として認識していないユーザーが多いように感じます。たとえば、自社のSaaSがチャーン(解約)されないためにカスタマーサポート(CS)の強化を図るなど、手元にある材料を使って解決を試みるものの、実はその前段にある“利用されるための準備”が不十分だと気づいていないケースが見られます。

“利用されるための準備”とは、例えば近年では、もともと紙文書で運用管理されていたものを、業務効率化のためにさまざまなSaaSに切り替える動きが一般化してきています。しかしこれらは紙文書が電子化されていることが前提となったサービス形態であるため、利用するサービスに適合したデータや継続的な電子化に対応できる体制を保有していなければ、導入当初の目的であった業務効率化を達成できません。

これまでは、SaaS事業者側がこのような部分のサポートまでを行えるケースは少なく、SaaSを導入し利用するユーザー側がサービスの利用準備を行わなければならない状況でした。しかしながら、準備したデータの規格が統一できていない、不備がある、といったことが原因で、ユーザーはサービスを十分に使いこなせず、いずれチャーンにつながってしまうというケースが多く見られていました。

こうした状態を引き起こす理由を突き詰めていくと、SaaS事業者のノウハウ不足かリソース不足のどちらかに大別されることが多いですね。

高田 SaaSを利用するための、紙文書の電子化対応を行える人が人がいなかったんですね。SaaS事業者もそこまでのリソースを保有しているところはほぼないから、対応が難しいですね。

平山 そこで、「サービス形態をBPaaSへシフトチェンジしませんか。うるるBPOではこういうことができますよ」と提案して、初めてBPaaSというサービス形態が認知されていくことが多いです。

橋口 『入札BPO』も同様です。BPaaSのニーズが顕在化しているというよりも、そもそも入札の世界は独特なので、「お作法が分からない」「担当者が少なくて困っている」という声をよくいただいています。

そこで、「それであればBPaaSで解決できますよ」と提案することは多いです。

平山さんの言う通り、「課題を課題として認識していない」ユーザーは共通している感覚です。

高田 あとは、NJSSのユーザーの多くは、NJSSの中ですべてのサービスが完結することを求めている傾向も多いように思います。そのため、例えば、“入札情報”から一歩飛び出したサービスを提案すると、料金をご覧になって及び腰になってしまうんですよね。

加えて、お金を払って外部に出すことに罪悪感を持っているきらいがあります。「自分たちでやるのが当たり前」を前提としているご担当者は多いですね

しかし実際には外部に出す方が結果、コスト面でもメリットが多い場合もあります。例えば自社で人件費や教育コストをかけて作業を行うよりも、外部の専門家に依頼することで、スピードや質の向上が期待でき、結果的にコスト削減にも繋がります。そういった意味では、BPaaSの認知を得て、活用を広めていくのはこれからと感じます。

平山 わかる気がします。特にSaaS導入を主導したDXチームなどで顕著ですが、SaaSを導入しているのだから、それで成果を出さないと面目が立たず「自分たちが使いこなせていないだけ」というような心持になってしまって、「自分たちでやりきらないと」と考えが硬直してしまうユーザーは少なくない気がします。

高田 昨今のビジネスシーンでは「顧客体験」に価値を置くケースが多いです。IT技術の進歩で業務効率化は向上したと思いますが、その分、昔はなかったCS業務やデジタルマーケティングなどの業務が増え、かつそれらが密接に紐づいていることを考えると、やることは多岐にわたるためSaaSだけでは成果を出せないケースも少なからずあります。

橋口 BPaaSの必要性を高めていくには、まずは、業務における考え方をシフトチェンジするところからかもしれませんね。

平山 それでいくと明確な課題感を持っているユーザーは、情報収集や試行錯誤を日々行っているので、BPaaSという概念を知っていることが多いように思います。

たとえば、クラウド型の会計システムを提供するユーザーの場合、自社のSaaSをより使ってもらうには、“ユーザー企業にレシートや帳票といった紙類をデータ化してシステムに取り込んでもらう必要がある”、といった具合に、SaaSだけで完結させようとはせず、自社SaaSの効果最大化における課題を真に理解しているケースが多いです。

だから、うるるBPOと連携することでこの課題をクリアしよう、とスムーズにBPaaS化支援につながります。

高田 SaaS事業者も、SaaSを利用しているユーザーも、サービスや業務における真の課題をとらえることがまずは大事ですよね。それがなかなかできなくて困っているのであれば、第三者が介入することで解決するケースもあるんだっていうことを知ってもらえたらいいなと思います。

前編では、うるるBPOの「BPaaS化支援」とBPaaSである『入札BPO』の双方に、ユーザーの共通課題について対談してもらいました。そこから、多くの企業がノウハウやリソースの不足に直面しながらも、業務を外部に委託することに対する抵抗感があることがわかりました。業務に対する考え方をシフトすることが、BPaaS活用の第一歩となりそうです。

次回の後編では、具体的な活用事例を通じて、BPaaSが企業の業務効率をどのように改善しているかを深掘りしていきます。

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