去る4月に開催された『ULURU Ayers Rock Festival』では、今年も各事業の年間MVPに加え、「うるるスピリット」にちなんだ五つの賞、そして今回新たに加わった「新人王」の各受賞者が、全社員の前でその功績をたたえられました。
このうち、「Govtech事業年間MVP」に選ばれた一人が、開発部所属の栗原史明(くりはら・ふみあき)さんです。
2年前にマネジメント職を離れ、エンジニアとして一から研鑽を積む道を選んだ栗原さんが、いかにして圧倒的な成果を出し、今回の受賞に至ったのか。AIを駆使した独自の開発手法や、組織を自走させるための「仕事の渡し方」など、リードエンジニアとしてのこだわりを語っていただきました。
受賞者プロフィール
栗原史明さん:Govtech事業本部 開発部AI活用課 ソリューションチーム所属。リードエンジニアとしてGovtech領域におけるAIの研究開発を牽引。うるるの競争優位性を確保するための新機能開発や技術検証をメインに担当。
趣味 テレビゲーム(最近はPvPよりRPGや街SIM系で1人でのんびり)、技術記事読み漁り、電車の旅(with6歳の息子)
特技 すぐに寝られる(そして、起きない)。
座右の銘 仕事は追っても追われない、虎穴に入らずんば虎子を得ず
受賞理由
開発からチーム支援まで「縦横無尽」に駆け抜けた一年でした。AI開発やオートフェッチ設計で高い技術力を発揮し、議事録収集の自動化を自ら提案・完遂した行動力は圧巻です。クローラーチームの新体制立ち上げでは、石原さんをリーダーとして見事に離陸させるなど、技術と組織の両面で多大な貢献をしたMVPです。
相手の「裁量」と「楽しさ」を守る。価値創造を最大化させる情報の渡し方
――まずは受賞時のことを聞かせてください。受賞者として名前が呼ばれたときは、どんな気持ちでしたか。
前期は頑張ったなっていう自覚はあったのですが、期末までにクロージングできなかった案件もあり、MVPをねらうには成果が届いていないと感じていました。自分以上に頑張っているメンバーの姿も見てきたので、「今期は逃したな」と。ですから、名前を呼ばれたときは驚きが強かったです。
――受賞理由を振り返り、特に意識して取り組んだ業務やポイントを教えてください。
この1年は、とにかく「仕事を次の人にどう渡していくのか」を熟考する日々でした。
AI活用課はPdM組織から提示された「WHAT(何を解決すべきか)」に対し、AIを始めとした技術的難度の高い分野における「HOW(どう実現するのか)」の実現性を検証する役割があります。ただ、私たちが行うのはHOWの中でも骨格づくりの部分。最終的な実行は、別の開発組織があたります。そのため、私たちは渡される側が迷わないように情報整理をするのですが、細かな指示をしすぎると時間がかかってしまいますし、渡された側も裁量が小さくなり、仕事としての楽しさを損ないかねません。その絶妙なバランスをどうやって取るべきか、ずっと考えてきました。
――仕事を渡すうえで、大切にしてきたことは何でしたか。
渡すときの「粒度」は、常に上長やリーダーに相談していました。指示が細かすぎて、相手のやる気を奪っていないか、客観的に確認したかったからです。
AI活用課がつくった骨格に、渡された部署がしっかり肉付けしないことには、私たちもまた価値創造に至らないままです。その点、最終的な成果を上げるために、対話を重ねながら共に土台を築き上げてくれた周囲の協力には、本当に感謝しています。
――クローラーチームの新体制立ち上げに関与されたことも受賞理由に挙がっています。
私自身がもともとクローラー周りの保守や改善に携わっていたんです。ただ、そこにコミットしている限り、新機能の開発や研究に割く時間を十分に取ることができません。そんな課題もあって、25年初夏にメンバーとして課に着任した石原くんに白羽の矢を立て、私の後任としてチームを託すことになりました。「私が細かく口を出さずとも、組織が円滑に回り、自走していく状態をどうつくるのか」が、大きなテーマでしたが、石原くんを始めチームメンバーが全力で応えて下さったお陰で任せられる領域も増え、課としても業務がスケールできるようになってきたな、と感じています。
AIを成果のブースターに。迅速な意思決定を支える取捨選択の極意
――続いて、仕事で大切にしていることを教えてください。
「迅速な意思決定と取捨選択」です。
目の前には、「やりたいこと」と「なすべきこと」が溢れていますが、全部を実行するには手も時間も足りません。だからこそ、攻めるべきポイントがどこかを考え抜き、複数の仮説を立てつつも確度が低いと思ったものには手を出さないように意識しています。
――栗原さんにとっての「取捨選択」の軸は、どこにあるのでしょうか。
判断軸は、「お客さまの価値になるのか」「チームにとってプラスになるか」です。その可能性をある程度感じられた場合には、時間を決めて検証しています。ただ、時間内に答えを見出せなかったり、答えは出たものの予算や工数との折り合いが付かなかったりしたときは、優先順位を下げる、または実現可能な部分に絞って取り組むことにしています。上席者が意思決定を行う際、迷わず判断できるように情報を切り出すこともポイントに置いています。
――その点、昨年度はAIを使った開発に拍車がかかり、「意思決定と取捨選択」のスピードもアップしたのではないでしょうか。
そうですね。これまで人に任せていたプロダクト開発も、まずは自分の頭の中で描いたものをAIにつくらせ、方向性を確認してから本格着手する手法を取り入れられるようになりました。おかげで、今までなら増員しないとできなかった仮説検証もやり切れ、成果を上げていくためのブーストをかけられるようにもなりました。
さらには、新人リーダーをサポートしながらも、本来注力するべき領域に心血を注ぐことができたので、タイミングと環境の両方に恵まれた1年になったと感じています。
今後は業務効率をさらに高め、最適な環境づくりと成果づくりにますます貢献していきたいです。
「覚悟の再出発」から2年。エンジニアとしての自信を胸に、さらなる高みへ
――改めて、受賞したときの気持ちを聞かせてください。
正直なところ、受賞できてホッとしています。というのも、私は2年前に課長職を降り、エンジニアとして1からやり直した経緯があるんです。
当時はブレインフィード社(※)が、うるるにグループインして1年が経ったタイミングでしたが、同社の優秀なエンジニアに囲まれるなか、「この人たちの下でエンジニアとして学び直したい」という思いと、「マネジメントで時間を消費していて良いのか?」という葛藤が生まれてきたのが理由でした。※2025年4月に吸収合併
当時、組織のマネジメント層は潤沢といえず、一人欠けるだけでも痛みをともなう判断だったはずです。それにもかかわらず、「決めたのなら頑張れ」と、背中を押してくれた当時の上長たちには感謝しかありません。だからこそ「なすべきことを成し遂げなければ」と自分を鼓舞し続けることができました。
当時の上長にもこのたびの受賞を報告したのですが、とても喜んでもらえました。そのうちの一人には「今のままではMVPには届かない。もっと視座を上げていかないと」と厳しいことも言われましたが、いま、こうして成長した姿を見せることができ、自分の自信にもつながっていることを嬉しく思います。
――今後の意気込みを聞かせてください。
昨年の取り組みをとおして土台をつくれたので、今期はそれを形にしてお客さまにしっかりお届けしたいと思っています。仕掛かり中のプロジェクトもたくさん抱えているので、開発部一丸となってやり切りたいです。加えて、Govtech事業部には若くて優秀なメンバーが揃っているので、一人ひとりのさらなる成長に向けて並走していくことにもミッションの一つとして取り組んでいきたいです。
Govtech事業部のプロダクトが市場で選ばれ続けるために、いっそう頑張ってまいります。