シナプス組織が目指すのは難しい道。ゴールド・コア賞受賞者に聞く、「コアの役割」とは?
目次
ーシナプスアワード ゴールド・コア賞受賞!その背景にある思いとは?
10月に開催された、「ULURU Synapse Award」。うるるが提唱している「シナプス組織論」の浸透を目指し、日々組織と向き合っているコアを表彰するアワードです。
シナプス組織論についてはこちら
今回ゴールド・コア賞に選ばれたのは、NJSS事業本部 マーケティング部 部長の山口秋彦(やまぐち・ときひこ)さん。2019年9月に入社されてから約2年という短期間の中で、ゴールド・コア賞に選ばれるほどコアとしての役割を果たしているとメンバーからの声が集まりました。
受賞理由:
・コアラ―のモチベーションを第一に考え、仕事に対する不安の払拭や、積極的なコミュニケーションで心的安全性を高め、チャレンジする環境を整えている取り組みが評価された。
・姿勢だけでなく、知識やスキル、フィードバックの面でも数多くのエピソードがあり、個人やチームの成長に大きく貢献されていると、多くの感謝が集まった。
・一見怖そうに見えるその強面とは裏腹に、メンバーに寄り添ったマネジメントが素晴らしいと、コアラ―以外からも多くのエピソードがあった。
第1回Synapse Awardのゴールド・コア賞に選ばれた山口さんは、コアの役割をどのようなものとして捉え、日々の業務に向き合っているのでしょうか。お話を伺ってきました。
<山口さんプロフィール>
2019年9月にうるるに入社。現在はNJSS事業本部マーケティング部部長を務め、マーケティング課とインサイドセールス(以下IS)課の業務を担当。趣味は3年ほど前から始めたランニングと、30代の頃から続けているゴルフ。特技は速読で、月に44~6冊ほどの本を読む。座右の銘は「理想主義的な現実主義」。
ーメンバーみんなに推薦してもらっての受賞が何より嬉しい
▲受賞した山口へサプライズメッセージを送るコアラーたち
まずは本当に素晴らしい賞をいただき、ありがとうございます。
自分自身の力というよりも、メンバーみんなからの推薦があって受賞できたというところが一番嬉しいポイントです。
最初に受賞が決まって、みんなからの推薦コメントやエピソードがあると聞いた時には、「マーケティング課のメンバーからだろうな」と思っていたんです。
もちろんマーケメンバーからのコメントもたくさんありましたが、驚いたのは業務上関わりの少ない、別部署のメンバーからもコメントが届いていたこと。
よくよく内容を読んでみると、「マーケティング課のメンバーが成長している」「イキイキと働いているのが見て取れる」というものや、中には「ここ数年でマーケティング課が大きく変わった」というものも。
私のコア力がどうというよりも、コアラ―のみんなが成長し、それぞれの場所でイキイキと働いていてくれるからこそのゴールド・コア賞の受賞だと思って、みんなには感謝しかありません。
仮に組織の成長が少し遅くなったとしても、メンバーを育てることが先。そう信じてやってきたことが間違っていなかったんだと感じています。
ーコアが抱える不安。そこも今後はサポートしていきたい
コアはある意味孤独な存在です。
周りにコアラ―はいるものの、コアそれぞれは点在していて、うるるの理念・ビジョン・カルチャーを高純度で浸透させる役割を担わなければならない。
自分のやり方が正しいのか迷うと思うし、私自身中途でうるるに入社したからこそ、「前職とやり方が全然違う」と戸惑う人の気持ちも分かります。
正直に言えば、ここまでメンバーにフォローを求める会社も珍しいな、と(笑)。さらに言えばそれがスコアとして全社に公開されるということも非常に珍しいですよね。
そんな中で、やっぱりコアは不安を感じると思います。
例えばいま私はIS課も担当しています。これまでリード~受注まで一方通行の流れの中で、途中で漏れてしまうお客様にどうフォローしていくかというのが課題でした。
そこで一度マーケティング課に戻してもらい、失注理由に適したコンテンツ配信ができるよう、スコアリングシステムを構築するということに取り組んでいます。
ただ、これは今までにない新しい取り組みなので、メンバーのみんなも不安を感じ、エンゲージメントスコアも一時的に下がってしまう。
こうなると、コアも「自分がやっていることは正しいのだろうか」「スコアを下げてまでも取り組む必要があるんだろうか」という迷いが生じます。
私としては、そこは「メンバーの成長のために」という気持ちが本当にあって、筋が通っている取り組みなのであれば、絶対にやるべきだと思います。
上がろうと思った時に、一度下がってしまうのは仕方がない。やるべきことをやるために、スコアは一時的に捨てるという判断も時には必要です。
でも一度下がって上がる経験をしていないと、なかなか不安でコアも挑戦しにくいと思うんです。
スコアという目に見える形で提示されるからこそ、そこが気になってやるべきことがやれないとなると本末転倒。
そこはうるるのシナプス組織論のこれからの課題かなとも思いますが、まず自分にできるのは、そういう不安を感じているコアをサポートすること。
自分の経験を活かして他のコアをサポートする中で、自分自身のコアシップをもっともっと伸ばしていきたいと思っています。
ー自分のやりたいことよりもメンバーのやりたいことを優先。強みを活かし、弱みもフォローする組織づくり
組織づくりや仕事の進め方に対して、結構マーケティングに関わってきた年数が長いので、周囲の人から「山口さんがやって成功したやり方をメンバーにも落しているんですよね」と言われることが多いんですが、個人的にはそんなことはあまりないかな、と。
まずはメンバーに対して、どんなことがやりたいか、1年後どんな姿になっていたいか、マーケターとして理想の姿はどんなものかを徹底的に聞きます。
時間をかければみんな何かしらの形は出てくるので、そうしたら次に個人のやりたいことと会社として、組織として求められることをマッチングさせます。
このやりたいことと、組織として求められるこの部分は一致するよね、となったら最後に具体的な業務内容に落とす。そんなやり方をしているので、私のやりたいことと合わせる必要は全くないんです。
基本的にマーケティングにおいて、成果を達成するための施策はいろいろなやり方があることが普通です。
これだけはという基礎はありますが、その他のところではよっぽど間違っている、失敗するのが目に見えていることでなければ、メンバーの意見を尊重してやりたいように挑戦できる場をつくりたいと思っています。
他にも「風通しの良いチームになっている」という声をいただきましたが、特別気を付けていることはないんですよね…。他部署に比べてみんなでランチに行く回数も少ないですし(笑)。
強いて言えば、仕事上でお互いに強みだと感じたことは、メンバー同士積極的に伝えあうようにしているところ。他のメンバーから言われて自分自身強みに気づくこともあるし、第三者が「このメンバーはこういうことが強みなんだ」と認識することもあって、そういう経験を通してお互いの強みが伸びていくと思います。
弱みは1on1など個別の場で、強みはみんなが見える場所で。そこはコアとして一つ気を配っているところになるのかな。
ー一般的なマネジメントとは違う。シナプス組織論が目指すのはより難しい道。
世の中にはいろんなマネジメント方法があって、私の前職で言えばモチベーションは個人の責任、やるべきことをやっているなら細かい説明はいりません、というタイプでした。
でもうるるは非常に「寄り添い」を重視している。
コアラ―含め従業員全員が理想の状態で働けるよう、コアの役割を明確にしつつ、コアとして果たすべき責任は時に大きいものです。
これは一般的に言う優秀なマネージャー・組織とは全く違っていて、かなり難しい道を選んでいるなというのが私の印象です。
例えばできる人を評価し強みを伸ばしていく、逆にできない人については評価せず最悪の場合メンバーから外すという判断ができるのも、いわゆる「できるマネージャー」「効率的な組織」の姿です。
でもうるるが目指しているのは全く別の姿。
今はできなかったとしても、意思があるならできるように寄り添う。できないことがあっても見捨てない。それがうるるのカルチャーであり、シナプス組織論が掲げている姿です。
もちろんうるるは株式会社ですから、ステークホルダーの利益を追求するというのは社会上絶対に変えられないことで、そのためには100%成果を達成することは当たり前です。
それはコアとしてコアラ―に落とし込んだ上で、そこで終わらせず各メンバーのやりたいこと、ありたい姿を追求していく。
そのためにコアがいるし、シナプス組織論があると思います。
とはいえ、ずっとサポートし続けたらメンバーは自分でできるようにならないし、自信を持つこともできないので、そこのさじ加減は難しいところ。
私のコーチングをしてくれた人から何回も言われたのは、「マネージャーは漢字の『親』と一緒。木の上に立って見守り、よほどのことがなければ木から下りて行って手伝ったりしない」ということ。
私は比較的サポートしすぎるタイプなので、そこはこれからも気を付けていきたいですね。
ーやるべきことを全力でやれるように。より強いシナプス組織をつくっていくための課題
ゴールド・コア賞を受賞させていただいて、改めてコアとは、シナプス組織とはということを考えた時に、もっともっとうるるのシナプス組織は強くなれるんだろうな、と思います。
エンゲージメントスコアの話の時も触れましたが、いまはまだ経験が足りなかったり、カルチャーが浸透していなかったりして、目に見えるスコアという評価が下がるような取り組みはやりづらいという空気があります。
でも、シナプス組織論が目指すのはただの「仲良し組織」ではない。
成果にこだわり、やるべきことはやる。その上で一人ひとりの成長のために、最大限フォローを行っていく。
これは本当に難しいことで、だからこそ価値があるんだということをコア・コアラ―含めみんなが共通認識として持つ必要があるのではないでしょうか。
一時的にスコアがへこんだり、コンフリクト(衝突)が生まれたりしても、それは今までと違うことに挑戦しようとしているのだから当たり前。
それでもやるべきことをやるのであれば、実行していい・挑戦していいんだという共通認識が持てると、うるるのシナプス組織はより強くなると思います。
今は僕が働き出した時と違って価値観が多様な時代です。
みんながみんな、バリバリ働いて高い報酬をもらって終身雇用が当たり前、ということではなく、仕事で自分自身の成長を追求したい人もいれば、家庭をより大切にしたいという価値観の人もいます。
それ自体は社会が成長している証拠だとも思うので、多様な価値観に株式会社としてどう応えていくのか。
この課題には私自身さまざまなメンバーと向き合うコアとして、取り組んでいきたいと思っています。
改めてコアとして日々組織と向き合う中で、メンバーの成長が何よりも嬉しいですし、今回はそこが評価されてのゴールド・コア賞受賞につながったので喜びもひとしおです。
コアとしてより良い組織づくりに取り組んだり、他のコアのサポートを通してシナプス組織全体の価値を向上させたりと、取り組みたいことはたくさんあるので、今回の受賞に満足せず、これからもコアとしてあるべき姿を追求していきたいと思っています。
今回は本当にありがとうございました!