VISION
2024/07/31

中計達成を経た、うるるが目指す次なる組織「ULURU Sustainable Growth for Talent」を大解剖

うるるは2019年に策定した5カ年の中期経営計画(以下、中計)を達成しました。

これを目指すなか、組織戦略と実行については「各事業部に任せた」と、代表星は話します。

その言葉の意図は、中計後の方針として打ち出した「ULURU Sustainable Growth」ともつながりがあります。

「ULURU Sustainable Growth」とは、人的資本投資を中心とした規律ある成長投資やM&Aなどによって、売上高だけではなく持続的な利益の成長を目指す方針を定めたものです。

そしてさらに、その「ULURU Sustainable Growth」を実現するための6つの課題を定めた「ULURU Sustainable Growth for Talent」も策定。

この先のうるるはどのような組織のもと、どのような人材の輩出を目指すのでしょうか。「ULURU Sustainable Growth for Talent」の考え方について星に話を聞きました。

信じて任せる組織戦略で中計に臨んだ

まず、中計達成に向けた組織づくりとして、どのように力を注いだのでしょうか。

古里

モデルにのっとった再現性のある合理的な組織にしていこう、という大枠は私が示しましたが、どのような体制を敷くのか、実務を行うのか、またはKPIを追うのか等は、各事業部の責任者に任せていました。ただ、会社規模やサービスの内容によって組織を変えていく必要があるので、常に柔軟でありたいとは思っていました。

そうだったのですね。任せる、とはいえ、思わず口を挟みたくなるような場面もあったのではないでしょうか。

古里

人から言われて改善するのと自ら行うのとでは、集中の仕方も違いますし、成果にも圧倒的な差が出ると思っています。それぞれがそのポテンシャルを秘めているのに私が旗を振って導くのは、もったいないと考えました。ですので、シナプス組織を理論化したり、それを冊子にまとめたり、朝礼で話したりはしましたが、個別で指摘することはないようにしていました。

あくまでも、一人ひとりが気づき、改善していくことが大切、というスタンスですね。

古里

ええ。もう自分一人で経営できる会社規模でもありませんので、そこは各責任者のやり方を尊重して伸ばしたほうが良いと思っています。自分とは山頂にたどり着くルートが違うだけで、間違ってはいませんから。

うるるは自分で考えたルートで山頂に向かうのが好きな人が多い気もしますね。

古里

そうかもしれません。それに言われたとおりに行うよりも自分で工夫して好きなようにできたほうが楽しいですし、責任感も湧くはずです。ただ、認識を合わせることはしっかり行っていましたし、達成に向かう情熱はずっと見守り続けていました。

「信頼」という貯金で乗り越えたコロナ禍の組織運営

中計の最中には、新型コロナの蔓延もありました。組織運営への影響をどのように感じていましたか。

古里

最初は焦りました。緊急事態宣言から二日目、従業員に「リモートワークで不便なことないか」とサーベイを取ったことをいまだに覚えています。ただ、そのときは意外と大丈夫だったようで、「まだ二日目だしな」と言い聞かせていたのですが、その後のサーベイでも指標が下がることはありませんでした。

その理由として考えられることはありますか。

古里

一つ言えるのは、会社と従業員の間には信頼という“貯金”があったことです。関係性ができている間柄の従業員にとって、リモートワークは業務に支障がありません。むしろ、通勤の負担や移動時間がない分、メリットのほうが大きかったのだと思います。

営業社員の商談もオンラインだと多くこなせるので、効率が上がり、スケジュールが隙間なく商談だらけでむしろ大変そうなくらいでしたね。

古里

そうですね。効率性も生産性もかなり上がったと思います。リモートワークのメリットは大きかったですが、コロナ以降に入社した社員には、『信頼の“貯金”がない』という点は常に気にしていました。5年後10年後、うるるの中に楽しさを見出せているのか、仕事の充実度はどうか――。これらは注視し続けなければならないと感じています。

会社の規模感も大きくなったので、ただ今までと同じやり方に立ち返るだけではきっとだめでしょうしね。

古里

色々模索中です。会社としても全社イベントを2回から4回に増やしたり、働く環境を整えるための手当や制度を導入したりしてきましたが、この先もできることを行っていこうと思っています。

人材開発を科学し、人材成長定着企業へと進化を遂げていく

中計後の方針として『ULURU Sustainable Growth』を掲げ、さらにそれを達成するための課題設定をした、『ULURU Sustainable Growth for Talent』を策定されています。

『ULURU Sustainable Growth for Talent』とは一体どのようなものなのでしょうか。

古里
『2023年版 価値創造ストーリー』にて、2025年3月期以降の方針として『ULURU Sustainable Growth 』を打ち出した

『ULURU Sustainable Growth for Talent』は、“人材開発を科学し、人材成長定着企業へと進化を遂げていく“方針をまとめたもの、と理解していただけると良いと思います。

人材開発を科学、ですか。組織課題が人材開発にあるという理解でいいですか?

古里

はい。うるるではこれまでも「人材成長定着企業の実現」を目指し、取り組みを行ってきました。最重要資本は「人」であるという考えは昔から変わりません。

うるるの人的資本経営の考え方

エンゲージメント向上委員会を設置しサーベイを活用した定点観測を行うなど、積極的な動きがありましたよね。

古里

はい。HRチームを中心に定点観測を積極的に行ってきましたし、社員にもそれが重要なことであるという共通認識を持ってもらっています。

この数値を見る限り、カルチャーの醸成に関しては手応えを感じており、これはうるる4大イベントの実施や、部署横断飲み会「のみゅーん」、うる部、コミュニケーションデザイン部の活動などによる成果だと評価しています。

うるるでは2020年にCCO(Chief Culture Officer)を発足させてから、より強固なカルチャーづくりに力を入れてきていましたよね。

古里

そうです。だからカルチャーの醸成はできています。しかし、“人材開発“という面ではまだまだ不足があるということが分かってきました。

といいますと・・

古里

カルチャーはフィットしているのに、『人材開発面で支援ができていない』という状態でした。

これを受けて、人材方針や組織方針など、『人』に関する領域を網羅的に見直し、新たに策定したのが『ULURU Sustainable Growth for Talent』です。

ULURU Sustainable Growth for Talent

これまでもうるるは、管理職候補者研修などをはじめとし、自走できる組織を目指したキャリア支援を行ってきたように感じます。

古里

管理職候補者研修は受講後の定量的な成果を見ても非常に意味のある内容となっていますが、受講対象者が限定的です。そのため、人材開発面で課題が出たのだと思います。今後はより多くのメンバーに、様々な角度から支援をしていく必要があると感じ、人事を中心に経営メンバー含めて動き出して、現状を整理しました。ギャップはどこなのか、データやヒアリング内容をもとに何度も議論を重ねました。

なるほど。うるるが考える”従業員の理想の状態”は、①全員がビジョンに向かって、自分の持つパフォーマンスを100%発揮すること、②仕事を通じて成長を続けること、そして、③イキイキと働くこと、でしたよね。

古里

そうです。これまで、『うるるスピリット』を土台として、社内イベントやシナプスブック等のツールを通じて、うるるらしさの浸透や社員同士の強固な関係を構築してきました。

今後はさらに、人材育成の重要性を共通の認識にして、企業カルチャーをアップデートさせます。そしてその結果として“従業員の理想の状態“を目指します。

これまでうるるが取り組んできたカルチャーのアップデートですね。では、具体的に人材開発にはどのように取り組んでいくのでしょうか。

古里

人材成長定着企業の実現に向けて、社員が大いに成長し、自らの意思で居続けたいと心から思える企業を目指したいと考えています。

そのための具体策はなんでしょうか。

古里

これらを実現するための、インプットアクションを新たに二つ整理しました。

一つは、個人能力を引き出す投資として、細やかなマネジメントと、キャリア開発等による成長支援の加速・強化です。具体的には、階層別に研修を行い、レイヤーごとに足りない知識やスキルを補完させ、さらには研修で学んだことを実践できる環境をつくります。そうして、それが文化として定着できるような運用を目指します。

新たに設定したインプットアクション

文化として定着させるというのは?

古里

人材育成のセオリーを“型化”して、それが自然と実践できる組織を目指したいのです。そうしたサイクルが自然と回るようにしたいので「文化として定着させる」という表現にしました。

なるほど。細やかなマネジメントを目指す上で、気を付ける点や工夫などはありますか。

古里

ここは余裕がないとどうしてもできない領域だと考えていますので、効果的な増員等でスパンオブコントロールを実現させようと考えています。プレイングマネージャーが増えていることも課題として考えています

プレイングマネージャーの増加は、以前から問題視されていましたね。

古里

はい。

そしてインプットアクションの二つ目が、やりがいを重視したキャリア安全性の高い組織づくりです。

自らの意思で居続けたいと思える環境は、やはりやりがいを感じている状態です。

そうですね。

古里

やりがいを感じてもらうためには、社員が描いたキャリアに対して適切な仕事や挑戦を“繰り返し“経験してもらうことが必要だと考えています。

会社からの提供だけでなく、そのような挑戦や経験を得るためには、社員はどのような姿勢や考え方が必要だと思いますか。

古里

目的をもつことが一番大事だと思います。自走する組織でありたいと私はずっと思っていて、自走するためには目的がないとできませんから。

そうですね。目的を明確に持つことができればあとは加速するだけですしね。そのあたりのマネジメントが組織内で細やかにできるといいかもしれませんね。

古里

その通りです。このあたりのケアができて、さらにカルチャーフィットしている状態だと、「月曜日が来るのが楽しみ」と思ってもらえるような組織になっていくと思います。

最後に、「ULURU Sustainable Growth for Talent」を通じてどのような未来を見据えていますか?

古里

我々は短期よりも長期の視点を持って、市場で認められる会社になろうという戦略を取っています。その戦略の一つが、得られた利益をそのまま計上するのではなく、「余裕」へ投資することです。

余裕ですか。

古里

従業員の「やりたい」や「成長したい」という思いを、外に出ずにもうるるで実現できるような環境づくりをしたいと考えています。やりたいことやキャリアは、もっと流動的で柔軟であっても良いという考えです。これによって、従業員はポテンシャルをさらに発揮できるようになって、成長の機会が増え、いずれは会社の成長を牽引する人材開発につながっていくと考えています。

そうすることで自走できる社員が増え、より強い組織になっていきますね。

古里

そのためにも自走学習の機会提供も強化していきたいです。目的を持つこと、自分で学ぶ内容を選択すること、「こうなりたい」と努力することで、ものすごくエネルギーが湧いてくると思います。これらを発揮できる環境を整えることが、一番のタレントづくりになると思います。

人は目的を持つとエンジンがかかり、成長にも拍車がかかります。そういう社員にあふれた組織をいっそう目指していきたいですね。

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