OPEN FACTBOOK
2023/03/18

労働力不足問題対策その2~生産性の向上~「オープンファクトブック#4」

みなさん、こんにちは。うるる取締役 ブランド戦略部長の小林です。
私たちは「労働力不足解決のリーディングカンパニー」として、日本が抱える深刻な社会問題である労働力不足問題と日々向き合っています。その活動の一環として、当問題の実態や私たちの生活への影響について多くの方に知ってほしいと願い、「オープンファクトブック」を実施しています。このオープンファクトブックでは労働力不足にまつわる実態、課題、展望などを解説していきます。

第4回となる今回は、前回に引き続き、「労働力不足問題への対策」について触れていきます。

一般的に言われている労働力不足問題への対策は大きく2点あります。1点は「労働力人口増加施策」、もう1点は「生産性向上施策」です。

当社作成

今回のオープンファクトブックでは、上記対策の2点目にあたる「生産性向上施策」にフォーカスを当ててみたいと思います。なお、1点目の「労働力人口増加施策」に関しては、「労働力不足問題対策その1~労働人口増加施策~オープンファクトブック#3」をご覧ください。

労働力不足問題対策の一つ「生産性を上げる」

さて、パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計2030」(※1)では、644万人に及ぶ人手不足を埋める対策として、「働く女性を増やす」「働くシニアを増やす」「働く外国人を増やす」の3軸に加え、「生産性を上げる」を挙げています。

出典:パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計2030」

「生産性」の定義

この「生産性」ですが、一般的にはどのように定義されているのでしょうか。公益財団法人日本生産性本部のウェブサイトには、こう記述されています。

あるモノをつくるにあたり、生産諸要素がどれだけ効果的に使われたかということであって、それを割合で示したものが生産性ということになります。

引用:生産性とは | 生産性運動について | 公益財団法人日本生産性本部

つまり、生産にあたって必要な設備や人員、時間、資金といったコストに見合う以上の対価を得られていれば、それは「生産性が高い」ということになり、逆に設備の稼働が低かったり、従事する人が未熟だったり、それによって時間がかかりすぎたりしている場合には、「生産性が低い」と言えるのでしょう。

日本の生産性と国際比較

そのうえで、現状、日本の生産性はどうなっているのでしょうか? 公益財団法人日本生産性本部が発表した「日本の労働生産性の動向」(2022年度)(※2)によると、2021年度の日本の時間当たり名目労働生産性(就業1時間当たり付加価値額)は4,950円とされ、1995年度以降で最も高い額を示しています。

※公益財団法人日本生産性本部「日本の労働生産性の動向」(2022年度)をもとに当社作成

この就業1時間当たり付加価値額(=時間当たりの労働生産性)をOECD加盟国と比較したデータ(2021年)があります(※3)。これによると、日本の時間当たり労働生産性は49.9ドル(5,006円)であり、OECDに加盟する38か国中27位という結果です。なお、就業者一人当たりの労働生産性は8万1,510ドル(818 万円)であり、同29位です。

※公益財団法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較2022 プレスリリース・サマリー」をもとに当社作成

生産性向上に向けた3つの取組

以上のデータから、日本は時間当たりの労働生産性が上がってはいるものの、国際的には低い位置にいることが分かります。

労働生産性の向上は、経済成長や経済的な豊かさをもたらす要因とみなされており、労働人口の減少が進む日本は、待ったなしで取り組まなければならない国家的課題であるといえるでしょう。実際、国内では官民問わず様々な施策が進んでいます。ここでは3つの取組を紹介します。

(1) DX:テクノロジー活用による労働生産性向上施策
労働人口不足を補う施策として、昨今注目を集めているのがDX(デジタルトランスフォーメーション)です。富士キメラ総研が公表している「業種別IT投資/デジタルソリューション市場 2022年版」(※4)によると、2026年度の国内IT投資額は2021年度比21.7%増の、23兆5,131億円と予測されています。

出典:株式会社富士キメラ総研「業種別IT投資/デジタルソリューション市場 2022年版」

投資目的は、「DXを活用したビジネスモデルの変革」「事業領域の拡大」が多く、デジタルの活用によって労働人口不足を補完し、持続的成長に向けてチャレンジしようとする企業の思いが垣間見られます。

(2)リスキリング(学びなおし)による労働生産性向上施策)
ビジネスのDX化にあたって必要になるのが、DXを推進できる“DX人材”の輩出です。これに対し、いま、新しく注目されているのが、「リスキリング」です。昨年秋の臨時国会で岸田首相が個人のリスキリング支援に「5年で1兆円を投じる」と表明したことは記憶に新しいでしょう。

リスキリングには、社員が自学自習する社風づくり、自律的なキャリア形成の実現といった効果が期待されています。このようにして社員一人ひとりのスキルが高まれば、新規ビジネスの開発や付加価値の高い商品・サービスの創出が加速され、ゆくゆくは企業競争力の強化、業績向上、そして生産性向上につながっていくという構図です。

これはデータにも表れています。日本経済新聞によると(※5)、世界経済フォーラムが2020年に発表した「将来必要なスキルへの投資」の国別ランキングでは、フィンランドやデンマーク、スウェーデンなどの北欧諸国が上位に付けており、過去10年間の労働生産性の伸び率でトップ集団を形成しています。これは、上述したOECD加盟国の生産性向上ランキングと同様の結果です。

出典:日経電子版「リスキリング、問われる成果 人材不足で機会損失1200兆円」

企業には社員のリスキリングを「人的コスト」ではなく、「人的投資」と捉えたうえで積極的な支援が求められています。

(3)モチベーションの向上による労働生産性向上施策
DXのための予算があり、優秀な社員が在籍していたとしても、彼らに事業に対する課題意識や使命感、自己実現欲求がないことには、それらは効力を発揮することはなく、企業競争力につながることもないでしょう。ですから、企業は社員を動機付け、奮起させるためのモチベーションアップ施策を講じる必要があります。

実際、厚生労働省は事業主に対し、魅力ある職場は、①従業員の意欲の向上、②業績・生産性の向上、③人材確保――に効果があるとしており、従業員にとって働きやすく働きがいのある職場づくりと、顧客満足度とともに従業員満足度を重視する姿勢がポイントになる、と説いています。(※6)

終わりに

労働力不足を解決するには、働き手の増加という量的側面、働き手の生産性向上という質的側面からのアプローチが必要です。しかし、いずれも一朝一夕でできるものではありません。体力のあるうちからアクションを起こし、来たるその日のための準備を万端にしておく必要があるといえそうです。

まとめ

・日本の労働力不足解決にあたっては、「労働力人口の増加」「生産性の向上」からのアプローチが必要になる


・日本の生産性は年々上がってはいるものの、国際的には下位に甘んじている


・生産性の向上は、経済成長や経済的な豊かさをもたらす要因とされており、労働力不足が叫ばれる日本にとって国家的な課題といえる


・国内における生産性向上の取組として、「DX」「リスキリング」「モチベーションの向上」の3つが進んでいる。

■参考・出典

※1 労働市場の未来推計 2030 – パーソル総合研究所
※2 公益財団法人日本生産性本部|日本の労働生産性の動向2022サマリー
※3 公益財団法人日本生産性本部|労働生産性の国際比較2022 プレスリリース・サマリー
※4 株式会社富士キメラ総研|プレスリリース:『業種別IT投資/デジタルソリューション市場 2022年版』まとまる(2022/9/7発表 第22094号)
※5 リスキリング、問われる成果 人材不足で機会損失1200兆円: 日本経済新聞(2023年2月13日参照)
※6 厚生労働省 政策情報

<ご取材等を希望のメディア関係者は以下へお気軽にご連絡ください>
株式会社うるる 広報室 担当:小林、高橋
TEL:070-8803-4325  E-Mail:pr@uluru.jp

【うるるグループ 概要】株式会社うるる(https://www.uluru.biz/)
設立:2001年8月31日
所在地:東京都中央区晴海3丁目12-1 KDX晴海ビル9F
代表者名:星 知也
事業内容:
◆CGS(Crowd Generated Service)事業 ※CGSとは、クラウドワーカーを活用したうるる独自のビジネスモデル
・電話取次サービス「fondesk(フォンデスク)」
・入札情報速報サービス「NJSS(エヌジェス)」「nSearch(エヌ・サーチ)」
・幼稚園・保育園向け写真販売システム「えんフォト」
・出張撮影サービス「OurPhoto(アワーフォト)」※OurPhoto株式会社にて運営
◆クラウドソーシング事業
・プラットフォーム「シュフティ」の運営
◆BPO事業 ※株式会社うるるBPOにて運営
・総合型アウトソーシング
・高精度のAI-OCRサービス「eas(イース)」
・障害者雇用トータル支援サービス「eas next(イース ネクスト)」

RELATED ARTICLE
関連記事

タグから見つける