労働力不足問題対策その1~労働人口増加施策~「オープンファクトブック#3」
みなさん、こんにちは。うるる取締役 ブランド戦略部長の小林です。
私たちは「労働力不足解決のリーディングカンパニー」として、日本が抱える深刻な社会問題である労働力不足問題と日々向き合っています。その活動の一環として、当問題の実態や私たちの生活への影響について多くの方に知ってほしいと願い、「オープンファクトブック」を実施しています。このオープンファクトブックでは労働力不足にまつわる実態、課題、展望などを解説していきます。
第三回目の今回は労働力不足問題への対策について触れていきます。
一般的に言われている労働力不足問題への対策は大きく2点あり、1点目は「労働力人口増加施策」、2点目は「生産性向上施策」となっています。
今回のオープンファクトブックでは、上記対策のうち「労働力人口増加施策」にフォーカスを当ててみたいと思います。
労働力人口増加のためには、今まで労働力としてカウントされてこなかった方々がこれからの主人公となっていく必要があります。パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計2030」(※1)によると以下3属性の活用が必要であるとのことです。
(1)働く女性を増やす
(2)働くシニアを増やす
(3)日本で働く外国人を増やす
それぞれのテーマを一つずつ見ていきたいと思います。
目次
働く女性を増やす
パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計2030」(※2)によると、以下図の様に、25〜29歳時の労働力率が49歳まで維持されると、働く女性は102万人増える予測となっています。
この図は「女性の年齢階級別労働力率(M字カーブ)」と言われる図ですが、以前は20代後半から40代の凹み(就労率の減少)がより大きかったのですが、ここ近年かなりフラット化してきておりM字から台形に近い形になってきています。
女性の就労率を高めることをテーマに、昨今女性活躍文脈のニュースを目にする機会が多くなっていますが、厚生労働省「女性の活躍推進にむけた取り組み施策」(※3)によると、女性活躍のために主に以下5テーマについて各企業が取組を推進しているとのことです。
1.女性の採用比率を高める取組
2.女性の職域拡大や育成に関する取組
3.女性の定着や働き方の見直しを図る取組
4.女性の管理職登用を図る取組
5.女性の活躍推進に向けた職場風土の醸成
一方、上記のように様々な取り組みをすることでスムーズに物事が進んでいないことも実態としてあります。
参議院「経済のプリズム No.181 働く女性の現状と課題」(※4)によると以下4点が実態としての問題点として挙げています。
1.依然として低い水準の女性管理職割合
2.女性の雇用者の約半分は非正規雇用
3.女性の正規雇用割合は年齢上昇に伴い低下
4.依然として多い出産退職
こういった問題点を乗り越えていくためには、基本は会社の前向きな取組と職場の理解や配慮が中心にありつつも、保育所や放課後児童クラブなど保育サービスの充実や家族のサポートなど、制度面と風習面の両側面から総合的に取り組む必要があることがわかります。
働くシニアを増やす
オープンファクトブック#2でも解説した通り、日本の総人口は、令和2年10月1日現在、1億2,571万人で、65歳以上人口は3,619万人となり総人口に占める割合(高齢化率)は28.8%となりました。
労働力人口増加のためには、増加を続けるシニアの方々(且つ働きたいと思っている層)を企業側が積極活用しない手はありません。
パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計2030」(※5)によると、80%のシニアの方々は70歳になっても働きたいという意向を示しており、42%の方々は「働けるうちはいつまでも働きたい」という意欲を持たれています。人生100年時代に突入し、昔のように定年以降はのんびりという時代では無くなってきているようです。
シニアの方々の活用に関しては企業側の努力も重要となってきます。
厚生労働省「平成28年「高年齢者の雇用状況」集計結果」(※6)によると定年制を廃止する企業や65歳以上定年とする企業が増加傾向にあるとのことです。
一方シニア活用の課題もあります。パーソル総合研究所「シニア社員の活躍と再雇用課題」(※7)によると、企業がシニア層に求めている上位項目である「専門性発揮」「取引先・人脈の伝承」「後進育成」について、実際に期待に応えられている割合が30%程度となっており、シニア層のパフォーマンス発揮に対する課題があいそうです。
さらには、「モチベーションの低さ」「パフォーマンスの低さ」「マネジメントの困難さ」については企業が感じているシニア層への課題が特に強い項目となっています。
シニアの方々の活躍は先述の女性活躍と同様、様々な観点から総合的に対策を打っていく必要がありそうです。
日本で働く外国人を増やす
いつからかコンビニエンスストアや飲食店では外国人労働者の姿を見ない日はなくなってきました。既に日本での様々な分野は外国人労働者の方々によって支えられています。
そして今後労働力が大きく不足する未来においては、益々外国人労働者の活用が重要となってきます。
ところが以下図(※8)の通り、外国人労働者需要数に対して供給数は足りなくなるという予測があります。
さらに日本は外国人労働者にとって人気の国であるという考えも既に古くなっており、以下表(※9)の通り、日本は外国人労働者には選ばれない国になっているのが悲しい実態です。
日本が外国人労働者に選ばれない国になっている要因はいくつかありますが、その中でも特に大きい要因は実質賃金が諸外国と比べて伸びていないことが挙げられるのではないでしょうか。
以下グラフ(※10)の通り、1990年に比べて、2020年にはアメリカの実質賃金は48%、イギリスは44%、フランスは31%も上がっていますが、日本の賃金は4%しか上がっていません。またお隣の韓国では92%も上昇しており、今や日本を追い越していることがわかります。
日本の賃金が向上しない背景には、中小企業が多く生産性が低いなど様々な要因があり、ここもまた一筋縄ではいかない問題を抱えています。
以上、いかがでしたでしょうか?
労働力不足問題の解決策には労働人口を増やしていくことが重要ですが、その策を講じるにも様々な課題があり、社会全体をあげて総力戦で戦っていかねばならないことがわかります。
次回のオープンファクトブックでは、労働力不足問題の解決策その2「生産性の向上」についてフォーカスいたします。
まとめ
・労働力人口増加施策では「女性」「シニア」「外国人」がこれからの主役である
・働く女性が増えるために各社様々な対策をとっているものの、実態としては女性管理職比率は低く、さらには非正規雇用者も多く、一層の制度充実並びに配慮やサポートの重要性が増している
・「働けるうちはいつまでも働きたい」と感じているシニアの方々は多くポジティブであるが、その活用においては、期待と実態とのギャップ、モチベーションやマネジメント面での課題の表出など、シニアの方々がよりパフォーマンスを発揮できるような取組の重要性が増している
・外国人労働者の需要は増加し続けており、今後は外国人労働者が不足する予測もある。一方、日本は外国人労働者に選ばれない国となりつつあり、その要因には諸外国と比べて実質賃金が向上していないことなどが挙げられる
・労働力人口増加施策のターゲットは明確になっているが、それらを増加させるにも様々な問題が複雑に絡み合っており、社会全体が一丸となってここに取り組んでいく必要がある
■参考・出典
※1 パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計2030」(2020年)
※2 パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計2030」(2020年)
※3 厚生労働省「女性の活躍推進にむけた取り組み施策」(2015年)
※4 参議院「経済のプリズム No.181 働く女性の現状と課題」(2019年)
※5 パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計2030」(2020年)
※6 厚生労働省「平成28年「高年齢者の雇用状況」集計結果」(2016年)
※7 パーソル総合研究所「シニア社員の活躍と再雇用課題」
※8 経済産業省「未来人材ビジョン」(2022年)
※9 経済産業省「未来人材ビジョン」(2022年)
※10 ダイアモンドオンライン「「日本で賃金が上がらない」本当の理由、GAFAがなくても給料は上がる?」(2021年)
EDITOR’S PROFILE
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