みなさん、こんにちは。うるる執行役員CCOの小林です。私たちは「労働力不足解決のリーディングカンパニー」として、日本が抱える深刻な社会問題である労働力不足問題と日々向き合っています。その活動の一環として、当問題の実態や私たちの生活への影響について多くの方に知ってほしいと願い、「オープンファクトブック」を実施しています。ここでは労働力不足にまつわる実態、課題、展望などを解説していきます。
業種ごとに労働力不足を考察する本シリーズ。
今回は、「水産業(漁業・養殖業・水産加工業)」を取り上げます。
四方を広大な海に囲まれ、世界有数の排他的経済水域を持つ日本は、本来、多様で豊かな水産資源に恵まれた国です。
広島県廿日市市・宮島沖の瀬戸内海
しかし、独自の食文化と地域経済の根幹を支えてきた水産業はいま転換期を迎えています。
本オープンファクトブックでは、水産業が直面する構造変化を考察しながら、「人手不足」を生み出している直接的・間接的な要因を分析します。そのうえで、持続可能な水産業の確立に向けて行われている取組を紹介しながら、人手不足解決につながるヒントを探ってみたいと思います。
なお、後半では、鹿児島大学発ベンチャーであり、「100年先の食卓にも地魚を」をビジョンに、テクノロジーとデータで持続可能な水産業の実現を目指す、株式会社ZIFISH(ジフィッシュ)代表取締役 CEO 江幡恵吾氏へのインタビューをお届けします。
データから見る、日本の水産業の現在地
第一次産業の就業人口の減少と高齢化が進んでいることは、皆さん知識としてご存じのことと思います。ただ、その起因となっているものは私たちの想像以上に深刻です。とりわけ日本の水産業はいま、地球規模の「環境変化」や国際情勢や物価高を発端とする「コスト増」、国際的な獲得競争や食文化の変化といった「構造的な変化」など、さまざまな経営リスクにさらされています。
1. 漁業者数の激減と高齢化の加速
水産庁の資料「令和6年度 水産白書」「令和6年漁業構造動態調査結果」によると、2000年代はじめには23.8万人いた国内漁業就業者が、直近では約11.4万人と、わずか20年で半減しています。
出典:
水産庁「令和6年度 水産白書 P.97 図表2-19 漁業就業者数の推移」
水産庁「漁業構造動態調査 1漁業就業者数 (1)年齢階層別の漁業就業者数」(政府統計の総合窓口「e-Start」
就業者のうち、65歳以上は39.1%(※1)を占めており、これは全産業平均13.6%(※2)の3倍にも及びます。つまり、水産業は高齢の就業者によって支えられているのです。
一方、新規就業者数は毎年1,700人台で推移しており、水産庁は「他の産業から新たに漁業就業する人はおおむね7割を占めており、就業先・転職先として漁業に関心を持つ都市出身者も少なくありません」としています(※3)。しかし、それを遥かに上回るペースでベテラン層の引退と廃業が進んでおり、これが人手不足の直接的な要因となっています。
水産庁は漁業就業者数について、「国内の労働力人口の減少に伴って漁業への新規就業者数も減っていくと見込んだ場合、将来の漁業就業者数は、10年後には約10万人、20年後には約8万人に減少」との見通しを示しています。(※4)
2.「一人親方」の増加による組織の脆弱化
水産業は「人が減っている」だけではありません。船を複数台所有して組織的に操業する「経営体」そのものが減っています。その一方で、船長が一人、あるいは家族経営で全ての作業をこなす一人親方的な個人経営体の割合が増加しており、沿岸漁業を中心に全体の9割以上を占めています(※5)。しかし、高齢化やケガがそのまま廃業に直結する脆弱性を抱えており、人手不足を加速させる一因になっています。
3. 国民の魚離れによる市場の縮小
もう一つ、違った角度から水産業を見ておきましょう。日本人一人当たりの年間水産物消費量は、2001年度の40.2kgをピークに減少を続け、令和5年では21.4kgまでほぼ半減しています。2011年には「肉類」の消費量が水産物を上回り、以降その差は拡大し続けています。これは、国内市場の縮小を示唆していると言えるでしょう。
出典:水産庁「令和6年度 水産白書(2)水産物消費の状況 図表1-3 食用魚介類の1人1年当たり消費量の変化(純食料ベース)」
水産業の人手不足の原因は
担い手の激減と国内市場の縮小という二重の局面に立たされている水産業ですが、「人手不足」が深刻化している背景には、現場の物理的な課題である「直接的な原因」と、産業の経済構造に起因する「間接的な原因」の二つが存在しています。
1. 直接的な原因
過酷で危険な労働環境
海上作業は常に遭難や転落のリスクと隣り合わせであり、労働災害発生率は陸上における全産業の平均の約4倍にも上ります(※6)。夜間・早朝労働も珍しくなく、陸上作業とは異なる身体的負担に体力の不安を覚える人も少なくありません。かつて盛んだった遠洋漁業になれば、洋上生活が数か月後に及ぶケースもあり、こうした過酷な労働・生活環境が就業をためらう大きな要因になっています。
※出典:水産庁「漁業生産を支える人材確保(令和3年7月)」P.14
閉鎖的な風土と後継者不足
さらには、伝統的な漁業集落のコミュニティや家族経営の多い事業体、徒弟制度のような関係性が、外部からの未経験者や若者にとって参入ハードルを高くしている側面が指摘されています。
農林中金総合研究所が2013年に公表したアンケート調査(※7)でも、「新規就漁に対する組合の取組みや課題」として、就業者から「独立して漁業を営む場合は、閉鎖的な漁業許可環境がある。新規乗組員等は住居の確保と地域環境に馴染めるかどうかの問題あり。」「一人乗りの自営が主体で、外部から入りづらい。」「幼少からの環境ないと(難しい)」といった声が挙がっています。
2. 間接的な原因
就業者数の減少や高齢化に追い打ちをかけるのが、外的要因による「儲からない構造」です。
高騰する操業コストと「遠洋」から「近海」へのシフト
漁業経営を圧迫する要因として、漁船の建造費や維持管理費、そして燃料費といったコストの高騰が挙げられます。なかでも、燃料費は支出の約16%(2020~2025年の平均値)を占めており、燃油の価格動向は経営に大きな影響を与えています(※8)。
そのため、数か月から数年をかけて世界中の海を巡る「遠洋漁業」は、こうしたコスト面や、国際的な資源管理規制の強化から主流ではなくなり(※9)、現在は計画的な生産が可能でリスクを抑えやすい「近海漁業」や、陸上・海面での「養殖業」へのシフトが進んでいます。
真鯛の養殖場
「価格転嫁の難しさ」と実質的な採算の悪化
統計上、近年の水産物の取引価格は、国内外の需要や公的支援を背景に平均値としては上昇傾向にあります。しかし、それ以上に燃料費や資材費の高騰が強烈であり、上昇したコストを販売価格にそのまま上乗せできない市場構造が横たわっています。
天然資源を相手にする漁業は、日によって漁獲量が乱高下するため価格が安定しにくく、「魚離れ」による国内需要の冷え込みも手伝って、小売側への交渉力を持ちにくい現実があります。サイズや魚種による選別といった市場流通の仕組みから、規格外の魚が安く買い叩かれる、あるいは廃棄される構造が就業者の利益率を低迷させてもおり、次世代への投資や人件費の確保を阻む大きな要因となっています。
国際的な乱獲と厳しい資源管理・規制の動き
私たち日本人にとって身近な、サンマやスルメイカ、サケの漁獲量は、過去最低水準へ激減しています。地球温暖化による海水温の上昇だけでなく、海外漁船による公海での大量漁獲(乱獲)の影響が指摘されています。
出典:水産庁「令和6年度 水産白書 P.11 図表特-2-2 サンマ・スルメイカ・サケの漁獲量の推移」
これにともない、国際機関による国ごとの「漁獲枠(上限)」の制限など、厳格な国際規制の導入が毎年加速しています。需要の減少と供給の制限という挟み撃ちの状態で、漁業就業者の収入源は年々狭まっています。
現状を変える、新たな水産業のカタチ
複層的な課題が見られる水産業ですが、養殖業における異業種の参入やスタートアップ企業によるテクノロジーや新たな販路の創出、食関連事業者との連携など、さまざまな取組が行われています。
1.スマート漁業の普及
近年では、AIやIoT、水中ドローンの活用が急速に進んでいます。たとえば、AIによる「魚群探知」や養殖場における「給餌の自動化」、人工衛星データを活用した「海水温や赤潮の予測」などが挙げられます。これにより、ベテランの「勘と経験」に頼っていた過酷な作業が可視化され、未経験の若手でも参入しやすい環境が整いつつあります。
2.異業種参入による陸上養殖の盛り上がり
気候変動による慢性的な不漁を克服するため、水産業は計画的な生産と価格決定権の確保が可能な養殖業、とりわけ「陸上養殖」へのシフトを強めています。事実、陸上養殖は国内の水産物全体における生産量で見れば、1%未満に過ぎないものの、生産額ベースでは約7.2%を占めており、次世代の水産業における高収益・高付加価値化の格好の証明となっています。
出典:水産庁「漁業・養殖業の国内生産の動向 (1)漁業・養殖業の国内生産の動向」
この領域のフロントランナーとして知られているのが近畿大学ですが、近年は鉄道会社などの異業種からの参入が目立っています。たとえば、JR東日本は高級魚であるクエを他魚種と交配して生み出したクエタマ(※10)、JR西日本はサバやヒラメ(※11)の陸上養殖を行っています。それぞれ地元の良好な水質を活かした寄生虫リスクのない「生食用のブランド魚」としての付加価値化や、自社ネットワークを活かした独自のサプライチェーンの活用といった特色があり、水産業に「安定した雇用」と「高い利益率」をもたらす新しいモデルとして注目されています。
3.市場を通さない新たな販路の構築
水揚げされた魚を種類やサイズで選別するのではなく、「まるごと全て」を直接買い取ることで、中抜きの無い適正価格での取引と漁師側の安定した収入につなげる取組も生まれています。
たとえば、回転寿司チェーンの「くら寿司」は、定置網にかかった魚を種類や大小問わず丸ごと買い取る「一船買い」で、市場に出回らない珍しい魚や規格外の魚を有効活用しているほか、未成魚を寿司ネタにできるサイズまで育て、商品価値の高い成魚として出荷するなど、水産業との共存共栄に根差した各種取組を精力的に行っています。(※12)
他方、水産関係者における六次産業化も進んでおり、付加価値化と利益率の向上につながっています。たとえば、福岡市漁協はブランド牡蠣である『唐泊恵比須かき』を通常の流通網で販売するだけでなく、唐泊支所直営による「かき小屋」も展開しています。(※13)
このほか、未利用魚を使用したミールキットのサブスクリプションサービスといったD2Cビジネスなど、水産業就業者の新たな収入源も生まれています。
4.「開かれたコミュニティ」への転換と定着支援
未経験者にとって障壁の一つである「地縁の閉鎖性」を、人や組織の受け入れ体制を整えることで解消する動きも活発化しています。
一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン(宮城県石巻市)が展開する『TRITON PROJECT』(※14)は、単なる求人だけでなく、移住の壁となる住居の提供から、「海の仕事」に関する学びの場やコミュニティの提供、受け入れ側の漁師を対象とした研修制度まで、漁師を目指す人をトータルでサポートしています。
ミスマッチによる早期離職を防ぐ徹底した事前マッチングも行っており、プロジェクト開始の2015年以来、550名以上の新規漁業就業者(※15)を生み出しています。
水産業における人手不足について――有識者インタビュー
ここからは、株式会社ZIFISH代表取締役 CEO 江幡恵吾氏に行ったインタビューをお届けします。
江幡 恵吾(えばた けいご) 氏
株式会社ZIFISH 代表取締役社長 / 鹿児島大学 准教授(博士:水産科学)
富山県出身。北海道大学および同大学院で漁業学を学び、2005年に博士(水産科学)を取得。1999年12月に鹿児島大学水産学部の教員として着任し、現在は同大学の准教授を務める。また、大学の知見を社会実装すべく、2025年に鹿児島大学発ベンチャー「株式会社ZIFISH(https://zifish.co.jp/)」を設立。
長年現場に立ち続けてきた経験から水産業の持つ可能性を確信し、近年はDXを活用した「世界に誇れる新たな水産業」の構築に力を注いでいる。同社の開発プロダクト『ZIFISH スマート計量システム』は、鹿児島県内をはじめとする各地の漁業の現場で導入が進んでいる。
――まずは、オープンファクトブックの読後感を聞かせてください。
水産業をずっと見てきた一人として思うのは、この産業にはまだまだ大きな可能性があるということです。確かに生産量は1985年ごろをピークに減少しています(※16)。しかし、国内の需要を支える人口自体も少子化で減り続けている以上、生産量が減少するのはある種、自然な市場の反応とも言えます。なお、生産額はここ数年横ばいで推移しており、漁師一人あたりの生産量や生産額、あるいは生産所得も少しずつ上がる傾向にあります。
出典:農林水産省「令和6年 漁業産出額」
また、500種類にも及ぶ多彩な魚を日常的に食べる国は世界の中でも日本だけです。調理法も、刺身、焼き魚、煮物をはじめ多岐にわたり、これは世界に誇れる財産です。
「和食(日本人の伝統的な食文化)」はユネスコの無形文化遺産にも登録されており、世界中から注目されています。とりわけ東南アジアのタイ国では和食の人気は高く、以前はノルウェーサーモンを載せたタイ米のお寿司でも受け入れられていましたが、いまでは「本物のジャパニーズフードが食べたい」と、本物の日本の魚が強く求められています。
一般的には「水産業は衰退している」と思われがちですが、見方を変えれば可能性にあふれた産業であることを、ぜひ知ってほしいと思います。
――続いて、水産業における労働力不足について、実際に感じていることやお考えを聞かせてください。
漁業者の数は確かに減っています。ただ、「跡継ぎがいない」と嘆く人ばかりではありません。5年先を見て対策を講じる漁業協同組合(漁協)の組合長さんもいらっしゃいますし、熱意あふれるリーダーが地域を盛り上げている事例もあります。こうした方は実際に収益を上げていますし、「お父さんが格好いいから」とお子さんが跡を継ぐケースも生まれています。前向きに取り組んでいる方は、共通して研究熱心であり、さまざまな挑戦をされています。
また、仲買人がいなくなったエリアでも、漁師さんが自ら道の駅にトラックで運んだり、独自のネットワークを構築して販路を確保したりと、新たな道を模索しています。
――人手不足が顕著なのは、やはり漁師さんですか。
漁協も深刻です。鹿児島県内では、本来なら6人必要な業務を2人や3人で回しており、「日曜日以外は休めない」という問題が常態化しているケースも出ています。その結果、漁協同士が合併する動きも見られています。
理由の一つに、定着率の課題があります。たとえば、手書きの伝票をパソコンに打ち直すような作業は水産業の本質から遠く、若い人が入っても「思っていた仕事と違う」と心が折れて辞めてしまうことが多いのです。都市部は高い給料をモチベーションにできますが、地方はそうはいかず、人手不足から拘束時間も長くなりがちです。水産業が他業種と比較して魅力に欠けているように見える点も、離職の要因だと思います。
――そのようななか、労働力不足解決に向けた取組として目を引くものはありますか。
たとえば、漁師さんであれば、乗組員を2隻の船に分けると同時に機械化や道具と技術の改善を進め、少ない人数でも操業でき、漁獲高も増やす取組が見られます。
また、流通を担う仲買人も、卸先である飲食店とのコミュニケーションに従来の電話やFAXに加え、LINEを活用する事例が増えています。従来、仲買人は魚の買取価格が不明な状態でセリに参加することが多く、赤字を避けるために安く競り落とす必要がありました。しかし、セリが始まる前にLINEで情報を流し、「2500円で買い取る」と確約できれば、安心して相場通りの価格で取引できます。これまでは「2000円だと高いかな? なら1500円で買っておくか」という心理が働き、結果的に漁師さんの収入を押し下げていました。産地市場が「美味しい魚を食べたい」という需要と適切な形でつながれば、適正価格で取引ができます。持続可能な水産業を営むうえで、デジタルの活用は非常に重要で、デジタル化によって新しくできることも少なくありません。
――水産業は国や自治体の支援も厚いですが、どのような対策やサポートがありますか。
人手不足の解消や物流改善による魚の価値向上に向けた補助金制度や導入サポートには、国も県も力を入れています。
また、より現場に近いユニークな取組として、鹿児島県では外国人旅行客を対象とした『かごしま魚市場ツアー』を実施しています。
これには実際に市場でセリの活気を感じてもらい、地元の魚を味わってもらうことで、帰国後のファンづくりや消費拡大にもつなげるねらいがあります。展開はまだ小さいものの、こうした活動の積み重ねが将来につながるはずです。
加えて、鹿児島県では今年度、水産業のデジタル化を推進する手厚い補助制度を設けており、導入経費の大部分(最大3分の2)をカバーできる枠組みもあります。こうした公的な支援は、現場にとって本当にありがたいものです。一つのケーススタディが成功事例になれば、他県への横展開へとつながり、水産業の底上げになることが期待されます。
――貴社のような民間事業者の中で、「これは強力なサポートになる」と感じられるサービスやプロダクトはありますか。
たとえば、『さんチョク』『食べチョク』のような、オンライン直売所サービスには期待しています。
プラットフォーマーさんも、農産物で培ったノウハウを水産にも広げようとしています。こうした方たちの力をお借りすることで生活者の目に留まる機会が増えることはプラスになりますし、市場を介すのと違い、生活者の反応がダイレクトに返ってくる点は生産者の大きなやりがいになります。自ら仕組みをつくるのは大変ですので、専門の外部パートナーと協業し、基盤を整備していくことは、とても大切だと思います。
――水産業の労働力不足解決のために、国や業界に提言したいことはありますか。
常日頃から、大学、鹿児島県、自治体、水産庁と一緒になって仕事をしていますが、その全員が水産業を支えるメンバーだと思っています。本当の意味で、お互いつながり合って課題解決に向かうことが大切だと思っています。
――最後に、水産業で働く魅力ややりがいを聞かせてください。
美味しい魚は人を幸せにします。セリの現場は活気がありますし、毎日新鮮な魚をいち早く見られる点は、魚が好きな人にとって非常に魅力的な環境です。
水産学部で学ぶ学生も、最初は水族館の飼育員を目指していても、4年間学ぶうちに意識が変わり、7割以上の学生が水産関連の仕事に就いています。こうした若者たちが純粋に魚と向き合える未来を創っていきたいですね。
そのためには、水産業を格好いい産業にする必要があります。デジタルや最新技術を活用して周囲の業務をスマート化し、人は魚を扱うことに集中する。そんなビジネスモデルに変えていきたいですね。
こうした生産者の取組が生活者に伝われば、私たちの食卓も変わるし、結果として、生産者の収入増につながり、地域の経済が活性化していきます。この好循環をつくれるよう、私たちもITの力で水産業を支えていけたらと願っています。
まとめ
本オープンファクトブックでは、水産業には深刻な人手不足と構造課題があるものの、その現状を変えるための実践的なアプローチがさまざまなところで始まっていることが明らかになりました。なかでも、養殖領域における技術の高度化、仲買人によるコミュニケーションの多様化、海外に向けたアプローチなど、取組の規模はそれぞれ異なるものの、日本の豊かな魚食文化を背景にした「高く売る(あるいは適正価格で売る)ビジネス」へのシフトは、日本の水産業が面白い未来を描くための一つの突破口となるはずです。
そして、江幡氏が指摘するように、本質から遠い事務作業などをデジタルでスマート化し、人が「魚を扱うこと」に集中できる環境を整えること。これこそが、水産業を魅力的な産業へとアップデートし、次世代の担い手を定着させるための確実な解決策ではないでしょうか。ここで提示したファクトが、これからの水産業と、私たちの食卓の未来をともに紡ぐ小さなきっかけとなれば幸いです。
出典:
※1 水産庁「漁業構造動態調査 表1」
※2 内閣府「令和7年版 高齢社会白書 P.17 図1-2-1-1 労働力人口の推移」
※3 水産庁「令和元年度 水産白書(3)漁業の就業者をめぐる動向 イ 新規漁業就業者の確保に向けた取組」
※4 水産庁「漁業生産を支える人材確保(令和3年7月)」P.8
※5 水産庁「2023年漁業センサス 結果の概要 表2 経営組織別漁業経営体数」(政府統計の総合窓口「e-Start」参照)
※6 水産庁ウェブサイト「漁業労働環境をめぐる動向」
※7 農林中金総合研究所「第 31 回漁協アンケート調査結果」
※8 水産庁「令和6年度 水産白書 P.90」
※9 水産庁「令和元年度 水産白書:(1)漁業経営体構造の変化(団体経営体数は規制強化や公海での資源管理措置の強化等により減少)」
※10 “浪江から。豊かな未来をつくる。”JR東日本ローカルスタートアップファンド×スタートアップ企業が農水産イノベーション拠点「浪江未来ファーム株式会社」設立 – JR 東日本スタートアップ株式会社
※11 PROFISH(プロフィッシュ):JR西日本
※12 漁業創生への取り組み|くら寿司の取り組み|くら寿司|回転寿司|
※13 唐泊恵比須かき カキ小屋|朝市夕市へ出かけよう!|福岡市漁業協同組合
※14 TRITON PROJECT | 未来へ向かってこの国の水産業を変えていくプロジェクトです。
※15 直近5年の離職率は22%。新規就業者を地域で支える、働くモチベーションを保つ仕組み| FISHERY JOURNAL
※16 水産庁ウェブサイト「漁業・養殖業の国内生産の動向」